世界で最も古いはちみつについての記述はギリシャ神話の中にあります。
オリンポスの神々の大好物、それがはちみつです。
私達ラベイユスタッフは、ギリシャ神話のオリンポスの神々が愛した
世界最高峰のはちみつを探しにギリシャへ買い付けに行ってきました。
世界最高峰とされるはちみつとは如何なるものか…
エーゲ海に囲まれた神話の国ギリシャで採れるはちみつをこの目で見て味わうために、いざギリシャへ!
ギリシャの国について
公式名:ギリシャ共和国
公用語:ギリシャ語
人口:1,094万人
首都:アテネ(人口340万人)
面積:131,990Km2(日本の1/3)
ヨ−ロッパの東部、バルカン半島の先端に位置するギリシャ。この地に生まれた文化が世界中に及ぼした影響は計り知れないほど大きく、世界の主な言語で使われているアルファベットや、それらで使われている単語の多くは、古代ギリシャ語からきたものです。さらに、西洋哲学や歴史学などの学問や、政治でいえば民主主義、演劇、彫刻といった文化、芸術などの基礎を築いたのも、みんな古代ギリシャ人達でした。そして、ギリシャ神話での最高神ゼウスの祭礼の時に行われたオリンピア競技は、現在のオリンピック大会の源でもあります。
古代遺跡の街アテネ
ローマ経由で16時間のフライトの末アテネへ到着。
1日目はアテネの市内観光。パルテノン神殿やギリシャの町並みを見学。
アクロポリス、パルテノン神殿など歴史あるアテネの街を満喫しました。
ギリシャはちみつの歴史と現状
「ギリシャ神話」の神々は最高神ゼウスを筆頭にオリンポスを舞台に大活躍を繰り広げていました。オリンピックの起源はその神々の父ゼウスを称える祭りだったといわれています。そしてゼウスはとろりと甘いネクター(はちみつ酒)とはちみつを大好物としていました。彼は幼少の頃、山羊の乳とはちみつで育てられたとも言われています。
またその孫、太陽神アポロンの息子は養蜂神アリスタイオスで、人々にみつばちの飼育を広めました。
紀元前4世紀にはアリストテレスを中心にみつばちの科学的研究が始まりました。これによりギリシャは古代最大の養蜂国として名声を博し、養蜂は副業から専業として定着していきました。
ギリシャでは、濃厚で香りが強く、固まっていないはちみつが人気なのだそうで、リキッドタイプのものが市場の大半を占めているそうです。
現在ギリシャでは、はちみつの生産量が500トンにものぼり、「アティカ・ヒュメトス山のはちみつ」はその美味しさと質の良さから、世界一有名なはちみつといわれています。

国会議事堂前の地下鉄に展示してある古代ギリシャで使われていた土器の巣箱。

養蜂神アリスタイオス。足元に見えるのが葦で編んだ巣箱と蜂の巣。
ラコニアの養蜂家を訪ねる
ペロポネソス半島の南にあるラコニア地方のスパルタへ向かいます。スパルタはとても乾燥した土地です。
まずは養蜂家ニコラスさんを訪ねます。彼はその地域の農協代表。顔は怖いけれど根はロマンチストで話の節々に古代ギリシャ神話の話が出てきます。
ニコラスさんが取り締まる「オーガノン」という農協組合は30人ほどの小さな組織。オーガニックな生産を目指し、オリーブとオリーブオイルを初め、豚肉、鶏肉、梨、桃、いちぢくなどの有機栽培に取り組んでいます。ニコラスさんの作るはちみつももちろん「オーガノン」。
次にスパルタ市郊外でニコラスさんと一緒にタイムのはちみつを採っているジョルゴスさんの養蜂場を訪ねました。ジョルゴスさんは少年のような眼を持つ寡黙な職人。ジョルゴスさんは奥さんと一緒に二人三脚で養蜂を営んでいます。
自宅の一角にある小さな工房でタイムのはちみつを採集する工程を見学。すべて手作業でアナログな世界。
搾りたてのタイムのはちみつは今まで食べたことのない素晴らしい味わい。薄茶色で甘さのはっきりした、タイムのエッセンスが凝縮された香り高いはちみつです。さすがはちみつの王様と呼ばれるだけありました。
見学の後、奥さん手作りの「ディプラ」というはちみつを使ったお菓子をいただきました。「ディプラ」とはギリシャの伝統的なお菓子で、クレープのような生地をくるくると巻いて油で揚げ、はちみつをたっぷりかけたもの。とても甘く、ボリューム満点でひとつでお腹いっぱいになりました。。

温めたナイフで蜜蝋の蓋を取り除きます。

遠心分離機に入れて蜜を抽出

採れたてのタイムのはちみつです。琥珀色で香り高く、はちみつの王様と言っても過言ではありません!

ニコラスさん

ジョルゴスさん

ジョルゴスさんの奥さん、タシアさんが作業を手伝っています。

ディプラ
タイムのはちみつの採蜜地へ
スパルタからさらに南下して、モネンヴァシアの少し先のペロポネソス半島のほぼ最南端にある採蜜地へ。段々と乾燥地帯になり、オリーブ畑が一面に広がります。緑も少なくなって石灰岩質の岩場が多くなってきました。もう雨が半年近くも降っていないとのことでした。乾燥しているわけです。
野生のタイム畑は、周りには何もなく、人も踏み込まないような町からかけ離れた僻地にあります。太陽の位置がはっきりとわかるくらい見晴らしがよく、どこからともなく風が吹いています。岩と岩との間に藤色のタイムの花が咲き乱れ、辺り一面タイムの香りが漂っていました。
ここなら純粋度の高いおいしいタイムのはちみつが採れるはずです。雨の降らない地域に生息する野生のタイムは根を30mも伸ばし、地下水を吸い上げているとのこと。厳しい環境の中で生き抜く生命の強さを感じます。
帰りにエーゲ海に面したモネンヴァシアという長い歴史を持った港町へ寄って食事をしました。フェタチーズにハーブとオリーブオイルがたっぷりかかったものやヨーグルトときゅうりのサラダなどギリシャ料理を海辺で満喫です。
そこの近くにある大きな岩の上にそびえ立つ要塞を見学。頂上から見たエーゲ海の眺めは最高。

岩と岩の間から生えるタイム

巣箱の置かれた場所。周りにはタイム畑だけ。
ギリシャの食事
シシケバブーやきゅうりのヨーグルトソースあえ、ピーマンの肉詰めのようなものが有名。地中海の新鮮な漁期類や太陽の下で育った甘い野菜をオリーブオイルをふんだんに使って作った料理が多くみられます。ムカサというナスとミートソースとマカロニを重ね焼きしたラザニアのようなものも代表的な料理。もともとマカロニの語源はギリシャ語の「マッカリーナ」(葬儀という意味)。お葬式の後の供養の宴で供されていたものだそうです。パスタをイタリアへ伝えたり、フランスにワインやチーズの作り方を教えたのも実はギリシャ人で、ヨーロッパの食文化の発祥の地とされています。
世界一美しい輝きのクリスマスツリーのはちみつ
次に向かうはエラト(クリスマスツリー)のはちみつの採蜜地。スパルタからまっすぐ南に下りエラティという村に行きました。「エラト」というのは700m以上の高地にしか生息しないアルペン松の一種で、地元の人にはクリスマスの木として親しまれています。
車で山道に入っていくと徐々に針葉樹が多くなっていき、30分ほどぐんぐん上って行くと、ようやく巣箱の置いてある採蜜地へ到着。その区域は国立公園に指定されていて、エラトの木を切ることも、枝をもぎ取ることも禁じられています。エラトの木は高さ20メートル以上もある細長くてエレガントなたたずまいの木です。
エラトのはちみつは木の樹液を吸った昆虫が、余分な樹液を甘いしずくに変えて体外に出します。その蜜をみつばちが集めて巣に運んではちみつにします。味は濃厚でキャラメルクリームのような玉虫色の世界で最も美しいはちみつです。

細長く背の高いクリスマスツリーの木
旅を終えて
ギリシャは本当に乾燥が厳しく、植物にとって決して生きやすい環境とはいえません。だからこそ生命力の強い植物が花を咲かせます。そして密度の濃い、香り高いはちみつが採れるのだと実感しました。ギリシャのはちみつは予想通り、世界最高峰のはちみつでした。
ギリシャ神話の神々が口にした同じはちみつを現代に生きる私達も食べることができるなんて、とても神秘的ですね。皆様にもぜひ味わっていただきたいはちみつです。